2017/12/09 How to make 真鍮プレート

下記記事にもアップしましたが、チームRokube10周年を記念して、"チームRokube 10th Anniversary Plate"を限定25枚製作&配布しました。
    2017/11/13 チームRokube 10th Anniversary Plate

配布した時、

→"どうやって作ったの?"
←"真鍮板をエッチングしました"
→"エッチングって?"
←"真鍮を溶かす液があって、それを使って・・・・・"
………

みたいな会話が何回かあったので、備忘録も兼ねて本記事を作成しました。上記記事と合わせてお読みください。

下記手順に沿って説明します。

  • STEP1:絵柄のデザイン
  • STEP2:下絵の印刷
  • STEP3:下絵の転写・修正
  • STEP4:エッチング
  • STEP5:個片にカット・仕上げ

STEP1:絵柄のデザイン
[ディスクローター]
今回は、DUCATI Multistrada950のフロントディスクローターがモチーフだったので、この写真を探すところから始まりました。SPARE PARTS CATALOGUEでPARTS CODEを調べ、ググったら、こんな写真を見つけました。
当初はこの写真を下敷きにして、Inkscape(インクスケープ)で作画してやろうと思いましたが、五角形を基本にした幾何学線画はなかなかうまく書けません。
結局、フリーの2D汎用CADソフト「AR_CAD」を使って作画する事にしました。このアプリは、使った事はあったのですが、直線と面取程度しか描いた事は無く、四苦八苦したものの、何とか作画し終えました。

[プレートのデザイン]
プレートに入れたかったのは、

  1. DUCATI Multistrada950のフロントディスクローター
  2. チームRokubeの文字"Rokube"(Magnetoフォント)
  3. "10th Anniversary"の文字
  4. チームRokubeのMLのURL https://www.freeml.com/XXXXXX

これらの具材をInkscapeで編集します。
Inkscapeは、初めて使うアプリなので、ググりながら使用しました。基本、並び替えるだけなので、そんなに難しい事はありません。
出来たプレートのデザインはこんな感じです。

    ※Inkscape(インクスケープ)はオープンソースで開発されているベクトル画像編集ソフトウェア(ドローソフト)。

STEP2:下絵の印刷
真鍮板のサイズ(0.3×100×182mm)に合わせて、STEP1で作ったデザインをInkscape(インクスケープ)で並べます。

プレートは25枚欲しかったので、真鍮板1枚に16プレート。真鍮板2枚分を並べた後は、白黒反転。

これで下絵が完成しました。(右端の絵はおまけで描きましたが、今回は使ってません)

 

あとは、この下絵をレーザビームプリンタで印刷です。
ここで、私が予め準備したのは、PCB Heat tranfer paper DIYと呼ばれる黄色い紙です。Amazonで\519/10枚です。Amazonでの商品名は"PCB ヒート伝達ペーパー DIY PCB電力的 プロトタイプ 基板部品 DIY シート ヒート A4 10枚入り"と訳の分からない名前になってますが、届いたものを見ると、よくある黄色のシール台紙(剥離紙)です。
私はレーザビームプリンタを持っていないので会社のを使いました。ところが全くうまく印刷出来ません。用紙がジャムったり、トナーの定着が甘かったり、プリンタのドラムが汚れてしまったりで上手くいきません。下記2機種のプリンタでトライしましたがどちらもNG。
    1)DocuCentre-V C2275(富士ゼロックス製)
    2)FUJITSU Printer XL-C8300(富士通製)

   
Heat tranfer paperを断念した後で試したのが、エッチングをググってた時に良く見かけた紙、ぶどう紙(FUJIFILM SA4100 [インクジェット用 画彩 マット仕上げファイン A4サイズ] \4,980/100枚)です。

これは、既に生産中止になっていたのですが、なんとか探しました。

かなり高額投資となりました。も少し、丹念にリサーチすれば、安価なものを見つけられたのかも・・・?    
これは、1)のプリンタで印刷しました。素晴らし
い出来栄えです。

STEP3:下絵の転写・修正
いよいよ真鍮板への転写です。
Tシャツを切って作った布、霧吹き、アイロンを準備します。
中性洗剤に少しだけクレンザーを加えたもので、真鍮板を洗います。クレンザーを混ぜたのは、表面に細かなキズを作ってやってトナーが定着し易くしようと考えたものです。

先ずは下絵の仮止めです。霧吹きで真鍮板に水を吹き付け、下絵を貼りつけます。温度を”中”にセットしたアイロンで万遍なく軽く押さえてやります。
最初に吹き付けた水が蒸発したくらいで仮止め終了です。

次に熱転写です。布を被せて布がヒタヒタになるくらいに霧吹きで水をかけます。そのあと、仮止めと同じようにアイロンを当てます。どれくらいの時間あてるかがポイントなのですが、正直良く判りません。私の場合、10分まではやってないと思います。

次に、布を外し、再度霧吹きで紙をヒタヒタに濡らし、真鍮板から引き剥がします。これは簡単にはがれますが、相当量紙残りがあります。これを、指の腹やプラスチック消しゴムを使って落とします。あまり強くこすると、折角転写したトナーが剥がれるのでほどほどにです。
次に油性マジックで、トナーが剥がれてしまった部分を修正します。

最後に裏面をマスキングテープで養生です。
   

STEP4:エッチング
洗面台に40℃のお湯をはります。
適当なサイズのジップロックに真鍮板を入れ、2倍に薄めた腐食液[塩化第二鉄液](\410/500ml)を入れます。キッチリロックしてから、40℃のお湯に投入。
40℃キープの為にお湯を足したりしながら、ジップロックをモミモミしながら30分程度エッチングします。
真鍮板を取り出す前に腐食液中和剤消石灰(\669/500g)を投入、熱が出るので注意です。発熱が収まってから真鍮板を取り出します。
取り出した後は、トナーを擦り取ります。少し乱暴かもしれませんが、私は、スチールウールを使いました。取れすぎるくらい綺麗にとれました。

STEP5:個片にカット・仕上げ
厚さ0.3mmの真鍮板、且つ、切断ポイント
はエッチングしてあったので、プラスチックカッター(PカッターL型 205B・OLFA製)でカットしました。5回くらいカットすれば折り曲げて切り離せます。
あとは紙やすりでカット面の仕上げ、コーナーのR加工です。
凹部に油性の塗料を塗り込んでみたのですが、ふき取り時、殆ど取れてしまうので、うまくいきません。なので、これは断念。
これにて完成とします。


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